夢の中だけでもいいから私に愛を囁いて
職場ではなかなか話をすることがなかったけど、家ではたくさんお話ができるようになっていた。
そして、近況を話してくれる、卓人さんの話を聞けることが私は嬉しかった。
卓人さんは京ちゃんのことをまだ忘れていない…。だって、あんなに毎日忙しいのに毎週こんなに来られるなんて…きっと今でも一番なんだな…。卓人さんが京ちゃんの遺影を見つめる姿を見てそう感じた。
寂しそうな顔を見せられると私の胸まで痛みを感じる。
何か私が出来ることはないだろうか…そんなことを考えてしまうくらい、黙って見ていることが限界になってきていた。
私がその夜に見た夢は京ちゃんと卓人さんと一緒に遊園地に連れていってもらった時のものだった。
記憶が見せた夢…あの頃の私は楽しかったはずだったけど、今の私はせめて夢の中だけでもいいから卓人さんの妻が私だったら…と思ってしまう。
そんな虚しい感じの残る夢だった…。