夢の中だけでもいいから私に愛を囁いて

いつから乃愛が男性社員と話している姿を見ていると胸が苦しくなっていた?そんなことを自問する。

「京子が大切にしていた乃愛だから、俺にとっても大事な姪なんだ。それだけだ…」

自分自身にそう言い聞かせた。いや、言い聞かせなければと自分を制した。

乃愛が男たちの誘いに気がついていない様子なのが俺にとっては救いだった。

昔、俺を癒してくれたあの笑顔が他の男たちにも向けられていると思うと辛い。

はぁ、とため息がこぼれた。…俺はどうしてしまったんだ…。

きっと答えはもう分かっている。


彼女に特別な想いを抱いているのは分かっていた。分かっていてもどうすることもできない。


今は業務に集中しようと俺は視線の先にいた乃愛を避けるように書類に目を向けた。

しばらく桂木家へ行くのを控えようか…とも考えるが、乃愛と話すことで癒され、過密な業務もこなせていることを思うと今すぐに止めることなどできないだろう。

そう…俺が乃愛に会いたいから…許されない想いを抱いていても会いたい…もう少し甘えてもいいだろうか。

せめて、乃愛に恋人ができるまでは…。
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