夢の中だけでもいいから私に愛を囁いて

「そうだ、陽くんの同期の田中さんから今度の金曜日に一緒に食事に行こうって誘われているんだけど、陽くんも一緒に行こうよ」

「俺はいいけど悠貴に怒られそうだな…」

陽くんは顎に手を当てて何かを考えている様子だったけど「やっぱり俺も行く。何時にどこの店?」と言ってきた。

「詳しいことはまた連絡すると言われてるの」

「乃愛は警戒心が足りないからな。付いていってやるよ」

「田中さんは警戒しなきゃいけないような人なの?」

「悠貴に限らない。電車の中で痴漢にあうのだって警戒心が足りないからだと思うぞ」

「また嫌なこと思い出させるんだから」

頬を膨らませ陽くんの腕をポカポカと叩きながら駅まで二人で並んで歩いた。

木曜日の昼休みに田中さんが経理課に明日のことを伝えに来てくれた。

その内容を陽くんに伝え、待ち合わせをすることにした。

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