夢の中だけでもいいから私に愛を囁いて

待ち合わせ場所に行くと陽くんと田中さんが先に来て話していた。

「なんで陽介が来てるんだよ」

「乃愛が心配して俺に相談してきたから付いてきた」

「遅くなってごめんなさい。あの…」

「乃愛ちゃん。来てくれて良かった。もう陽介は帰っていいよ」

陽くんに『帰れ』と言うように手を振る田中さんに伝える。

「あの、私が勝手に陽くんに声をかけてしまって…。陽くん、都合つけてくれたみたいで…一緒にはダメですか?」

「そうだぞ。俺は乃愛の頼みで来てやったんだからな」

偉そうな口調に呆れ気味の田中さんは渋々了承してくれた。

三人で行ったのは個室のある居酒屋さん。
私たちは個室に案内され、私の正面に二人が並んで座る。

田中さんと陽くんはよく来るらしく、お勧めの料理をいろいろ注文してくれた。

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