夢の中だけでもいいから私に愛を囁いて
記憶の欠片
昼間に紗英と話していたからか、今朝見た夢が現実のものとなったからか夢のことを考えていた。
お風呂に入りしみる足を押さえて呟く。
「なんでこんなこと本当に起こるかな…イタたた…」
私には他にも子供の頃よく見た夢があった…最近見なくなりすっかり忘れてしまっていた夢……。
『おめでとう~きょうちゃん。すごいね。ほんもののプリンセスだ~』
あの時まだ子供だった私が母の妹である京子ちゃんの結婚式でウエディングドレスを着た幸せいっぱいの京ちゃんの前ではしゃいでいた。
『乃愛も可愛いドレスを着てて立派なプリンセスよ』
京ちゃんが私もプリンセスだと言ってくれたが、私にはプリンセスになれていない理由があった。
それは…王子様がいなかった…だからプリンセスではないと言っていたのだ。