夢の中だけでもいいから私に愛を囁いて
その日に見た夢では卓人さんが登場したが、彼は私を見つけて歩いてきてくれた…と思っていたのに、私の前を通りすぎて行ってしまった…。ねぇ、誰のところに行ったの?
やはり私と卓人さんが一緒に歩いていく未来はないのだと…夢に教えられたようだった。
目が覚めてボーッとしていても考えてしまうのは、昨夜聞いた噂が本当でなくても「きっと私が卓人さんと恋人になるとかあり得ないことなのに…私の家での過ごしている時の卓人さんとの距離感を勘違いして…期待して…私ってバカだ……」と思った。
気がつけば頬に涙が伝っていた。
それからというもの私は気まずさを感じ、友達と食事に行く機会を増やして、卓人さんが家に来る日に早く帰ることをやめた。