夢の中だけでもいいから私に愛を囁いて
「そんなこと言わずに食べていってください。どうせ自分の分を作るので、もう一人分増えても手間は変わらないですから」
「…乃愛だって仕事をして疲れているだろう。無理しなくても…」
そこまで言ったところで腕に掛けられた手に力が込められたような気がして乃愛の顔を見ると、すがるような瞳と視線が絡み、俺は笑顔を向けて応えた。
「じゃあ、ご馳走になるよ…」
乃愛のあの瞳に見つめられるのは抑えがきかなくなりそうで困る。
乃愛は一人暮らしの俺のことを心配してくれているだけだろう。男としてではなく叔父として見られているのだろう。そう考えると自分の気持ちに気づいてしまった俺は二人きりでいることが苦しくもある。
キッチンに向かった乃愛の背中を見て「重症だな…」と呟いた。
二人でいるだけで心が満たされる。彼女との時間を大切にしようと思うと胸が温かくなった。