夢の中だけでもいいから私に愛を囁いて

すれ違う二人の想い


職場に滝川さんが毎日現れるようになり、なぜだか私を見ている。睨み付けるような視線に負けて、私は少しずつ卓人さんとの距離を取るようになった。

定時に上がっても家に真っ直ぐ帰りたくなくて、田中さんからの誘いに応えることも増えた。

田中さんには悪いと思うけれど、私は卓人さんを忘れたかった。

忘れたいという思いと、姪としてでもいいからもっと一緒にいたいという思いがあり心はとても複雑だった。

陽くんから聞いた卓人さんが付き合っているという女性の存在がさらにため息を重くて深いものにする。

「滝川さんって美人すぎる…二人が並ぶと美男美女で似合ってる」

その人とはいつから付き合っているの?

答えを聞くのが怖いのもあり、そんな疑問を当事者である卓人さんには確認できていない。

< 46 / 66 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop