夢の中だけでもいいから私に愛を囁いて
『のあにはたーくんみたいな王子様がいないもん』
『そっか…でも、大きくなったら乃愛にも素敵な王子様が隣にいてくれるようになるよ』
『のあが大きくなったら、たーくんがのあの王子様になるの?』
『卓人は私の旦那様だから、乃愛の王子様は別の人。きっと、卓人よりカッコいい人かもね』
京子ちゃんは私の手を握りウインクしながら、私の相手について想像しているのか楽しそうに話していた。
コンコン…とノックの後に新郎である卓人さんが控え室に現れた。
『…京子……綺麗だよ』
そう言って京ちゃんの前で片膝をつき手に口づける姿は本当の王子様だった。
『幸せにする。ずっと隣にいてくれ』
『卓人、一緒に幸せな家庭を作ろうね』
二人の様子は大好きなプリンセスのお話のようだった。