夢の中だけでもいいから私に愛を囁いて

「乃愛、本当に何もされていないか?」と卓人さんは心配そうに聞いてきたので、すかさず怜子さんが「失礼ね」と反論していた。

「うん。怜子さんにいろいろ教えてもらっていて、食事も美味しかったし、とても楽しかったよ」と私は笑顔で卓人さんに答える。

「いや、楽しいって…。怜子に無理やり連れてこられたんじゃないのか?」

「初めはそうかと思ってたけど、違うよ。怜子さんがアメリカにいた頃の卓人さんの話とかいっぱい聞かせてくれたし、本当に楽しかったよ」

「うふふ。二人がうまくいってくれるなら、何を言われても平気よ。だってこのために日本にわざわざ来たんだからね」

「お前、このためって一体?」

「あなたがアメリカに来てマイクと飲んでいた時のことを聞いたから。マイクもなんとかしてあげたいって。だから、二人で作戦を練ってきたのよ」

作戦なんて言う怜子さんの横にマイクさんが立って、その時のことを教えてくれた。

「卓人はあの時、『大切にしたい子がいるけど、自分では幸せにしてあげることができない』と。『だから、せめて見守るくらいはしたいと、一生見守るだけでいいんだ』ってね」

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