夢の中だけでもいいから私に愛を囁いて

「乃愛さんとの結婚をお許しいただきたいと思いましてご挨拶にきました」

「卓人くん、顔を上げてくれ」と父が慌てて言う。

「いえ、京子のことでお世話になりっぱなしで迷惑お掛けしてきた僕が、今度は乃愛さんを欲しいだなんて、お義兄さん、お義姉さんにしてみたら許せることではないと思っていますが、僕は乃愛さんとこの先の人生を一緒に過ごしていきたいんです」

「乃愛、お前はどうなんだ?卓人くんと同じ気持ちなのか?」

「お父さん、お母さん、私は卓人さんが好き。卓人さんは京ちゃんの旦那さまだからって諦めようとしたの。でもできなかった。私のこの先もずっと卓人さんと一緒にいたいの。だから、結婚を許してください」

二人で両親に頭を下げてお願いする。

「やっぱりね…。そうなんじゃないかって思ってたわ」と母が声にすると父も同意していた。

「卓人くんのことは信頼している。こんなに早くに娘を嫁に出すとは思っていなかったが、二人が真剣なら…まぁ仕方ないか。お互いの立場や年齢差など周りからの好奇の目などがあると思うが乗り越えていけるか?」

父からの言葉に二人で大きく頷き、そして二人声を合わせて誓う。

「もちろん。何があっても二人で乗り越えていきます」
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