夢の中だけでもいいから私に愛を囁いて
さらに卓人さんの行動は止まることがなく、無事に承諾を得ることができた後、怜子さんが用意してくれていた婚姻届に父の署名をもらい、あっという間に準備を整える。
翌日、迎えに来てくれた卓人さんは陽くんの家に行き話してくれた。
「今井君には悪いが、乃愛は誰にも譲れない。だから、これから婚姻届を出しに行ってくる。絶対に幸せにすると約束する」
面食らった顔をする陽くんが私に向かって「良かったな」と頭を撫で「それにしてももう結婚って早すぎるだろう」と笑って言ってくれた。
そして、婚姻届を提出した帰り道、手を繋ぎ歩いていると甘い声が耳に届く。
「乃愛、もう片時も離れていたくない。お義父さんたちには話してあるし、荷物は後でいいから、乃愛は今日から家においで」
卓人さんはいつの間にか決めていた新居にそのまま私を連れてきてくれた。
「素敵な部屋。ここ副社長のマンションですよね?」
「そう。城田に頼んでここを借りた。家具も一通り揃ってるしね」
「なんだか急すぎて…。驚きしかないです」
「嫌だった?」
「ううん。嬉しいです」
卓人さんは玄関に入るなり私を抱きしめてきてキスをする。キスの合間に「愛してる」と囁いてくれた。