鷹臣くんは盗みたい
「鷹臣くん、私の隣の席でしょ?」
自分の席に座り
机にぶちまけたものを、カバンにしまい始めた美月は
「最後に私がペンを使ったのを見たのって、何時間目?」
うるんだ瞳で、俺の視線に絡めてきた。
弱り切った、ポニテウサギ。
涙目。
ほんと、可愛い奴。
今すぐ襲いたい。
(いや、ダメだろ)
「数学の時には、使ってたよな?」
「そうだったね。
私、先生の説明が意味不明すぎて、
眠くなって、ペン回ししてたもん」
「高校レベルの勉強、わかんないの?
数学脳、衰えすぎじゃね?」
「授業中にガン寝してた鷹臣くんに、言われたくないよ」
「俺は授業聞かなくても、たいていの問題は解けるし」
「さすが高校入試、トップ通過の元生徒会長。
でも授業中に寝るのは、よくないと思うなぁ」
「数学の先生の話し方がいけないんだよ。
催眠術でもかけてんの?ってほど、スローすぎ。
眠気に耐えられなくなるんだよ」
「わかる~。
私も眠気と戦ってるもん。
特に午後一の授業。
睡魔の誘惑に負けそうになるんだぁ」