鷹臣くんは盗みたい


桜色の大人綺麗なボールペン。


さわるな。ふれるな。

諦めろぉぉぉぉぉ。



って……。



あぁあ~~、拾っちゃたし。

俺の手の中に、桜色のペンが収まってるし。



今すぐ返せば、犯罪者にならずにすむ。


まだセーフ。ギリセーフ。

名残惜しいが、隣の美月の机の上にペンを置いて……



鷹臣(たかおみ)君?」


うわっ、やばっ!


俺の背後から聞こえてきた、この美声。

やっぱり、美月本人じゃん!



「アハハ~。
 名前呼んだだけなのに、肩がビクって跳ねてたよ。
 そんなに驚いた?」


「あっ…、ああ……」



そりゃぁ、驚くわなぁ。


一途に想い続けている女の、いきなりの登場。


驚きすぎて、ビビりすぎて

俺の机の中に、ペンを押し込んじゃったんだけど。

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