寡黙なトキくんの甘い溺愛
保健室にもペンはある。ハチマキに書かれている名前やクラス名は、俺でも書けそうだな。
「よし、やるか…………ん?」
倉掛さんにかぶさっていた自分の体を起こそうとする……が、倉掛さんが俺の背中をガッシリと掴んだままで、離れることが出来ない。
「~っ、生殺し……っ」
夢みたいなシチュエーションに、心臓がうるさく鳴り始める。
今更だけど、俺いま、倉掛さんと抱き合ってるんだな……。
「……っ」
チラリと顔を見る。泣いたまま寝たため、まだ涙が目の端に残っていた。
俺は衝動的に、自分の顔を近づける。
そして――
「明日は楽しもう、倉掛さん」
尚も眠ったままの彼女の頬にキスをする。落ちてくる涙を受け止めて、手でその痕を拭った。