寡黙なトキくんの甘い溺愛

「トキくん……女の子の服が買いたかったの?」



そういう趣味があるのかな……!?

ドキドキして質問したけど、返ってきたのは「NO」の答え。



「俺じゃなくて……倉掛さんの」

「へ、私?」

「……うん」



真顔で言われるものだから、思わず考える。

新オリは明日……何か足りない物、あったっけ?



『ね、砂那。パジャマ買いに行こーよー!可愛いの見せ合いっこしよ〜』



あ、あった!

買わなきゃいけないもの!



「そういえば!パジャマ!」



私がハッとして顔を上げると、なぜだか安心したようなトキくんと目が合った。

思い出して良かったね、ってことなのかな?

と言っても――



「(トキくんは圧倒的に言葉数が少ないから、私が勝手に解釈してるんだけどね)」



立ち止まっていると、トキくんが肩をポンと叩く。なんだか、嬉しそう?



「行こ」

「……うん!」



嬉しそうなトキくんにつられて、私も嬉しくなる。

私の前を颯爽と歩いてくれるトキくんの後を、はぐれないようについて行く。

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