寡黙なトキくんの甘い溺愛
聞いてください、皆さん。
私は今、大変な事になっています……。
「だーかーらー!俺が砂那ちゃんを守るって言ってんの!」
「……邪魔だからどいて」
「トキくんの方が邪魔だから!」
なんでこんなことになったかと言うと――
始まったクラス対抗のドッチボール。
小さくて人の影に隠れるのが昔から好きな私は、ここでその特技が活きてしまい、C組の生き残りは私と大橋くんとトキくんだけになってしまった。
後は皆、外野にいてボールを待ち構えながら応援してくれている。
相手はB組の人たち。コートの中にいるのは五人。少しこっちが劣勢。
それなのに――
なぜかトキくんと大橋くんは、どっちが私を守るかで揉めていた。
私が抜けて二人でB組の残りの人を倒してくれるのが一番勝ち目があるのに、どうして私を守ろうとするんだろう……。