寡黙なトキくんの甘い溺愛

女子のみんなが「キャーキャー」言って埒が明かないと踏んだのか、うみ先生が「静かにねー」と笑顔で注意をした。

そして静寂に包まれた中――イケメン君は口を開く。



「吾妻 斗希(あがつま とき)……東中出身」



本当に必要な事だけを端的に述べ、すぐに着席するイケメン君。

静まり返った教室は、しばらく皆の吐息がだけが聞こえる……はずだったのに。



「あー!!」



大橋くんの大声に、ビックリした皆の背中がピョンと伸びる。

「お前、そうだよお前!」当の本人は皆のことなんかお構いなしで、指をさして未だ騒いでいる。

その指の先にいるのは……



「誰かと思えば、同じ東中のトキコ!?」

「!」



いきなりそんな事を言われて、後ろの席のイケメン君もとい吾妻くんは、少しだけ反応した。

かと思えば、



パシッ



吾妻くんが、なぜか私の手を握る。

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