寡黙なトキくんの甘い溺愛
そして半ば無理やり私を起立させた後、
「先生、倉掛さんが調子悪そうなので……保健室に行きます」
「……へ?」
混乱する私と「砂那!?」とビックリしたしずかちゃんと「待てよトキコちゃんー!」と騒ぐ大橋くんと、
そして――
「よろしくね~」とウンウン頷くうみ先生。
「(ど、どうなってんのー!?)」
クラス中を混乱させた吾妻くんは、私を連れてすぐに教室を出た。
そして人気のない踊り場まで、一直線に進んでいく。
その時もずっと手は繋がれたままで……
ドキン、ドキン
早歩きになっているからか、それとも……
私の胸の音は、さっき皆の前で自己紹介をした時よりも激しく、そして煩く鳴っていたのだった。