寡黙なトキくんの甘い溺愛
踊り場に着いた時、吾妻くんは繋いでいた手をパッと離した。少し顔が赤い……早歩きで歩いたからかな?
考える私を前に、吾妻くんが「あの」と、ゆっくり話し始めた。
「いきなり…ごめん。あの大橋が変な事いうから、倉掛さんを巻き込んで逃げてしまった……ごめん。あと、それと……どうしても確かめたい事があって」
「確かめたい事……?」
「さっき聞こえて……。受験の日に会った男の子が君の初恋の人……っていうの」
「……え……え!?」
恥ずかしがる私に吾妻くんは、一歩、私に近寄った。今まで逸らしていた瞳も、私に向ける。その顔は、真剣そのもの。
そして――
「その男の子が俺って言ったら……どうする?」
「……へ?」
とんでもない発言をした吾妻くん。
すると、私の呼吸が、ヒュッと一瞬だけ止まったのが分かった。