寡黙なトキくんの甘い溺愛
――「私のこと、好き……?」
――「っ!!!」
私は確かに「好き?」って聞いたけど、よくよく思い出したら、トキくんは私に「好き」って言ってくれてない気がする。というか、言ってない。その後はすぐに「なんで試合に出たいか」っていう話になっていたし……。
嬉しくて上がっていた口角が、少しずつ下降し始める。
「(あれ?私、告白してもらったって……喜んでいいんだよね?)」
不安になってトキくんを見るも、トキくんは「柔道について調べたんだけど」とスマホを操作している。既に頭は試合のことでいっぱいみたいだった。
そんな彼に、今更「さっきのって告白だよね?」と蒸し返すのも悪いし、第一……もしも「え?違うよ?」なんて言われたら、立ち直れない……。