寡黙なトキくんの甘い溺愛
私が更に赤面していると、トキくんは少し顔を傾けた状態で私を見る。その口は「覚悟してね」と二ッと笑い、綺麗な弧を最後に描いて止まる。
「か、覚悟……?」
「うん。俺、今までたくさん我慢してきたから……砂那を好きな気持ちを隠して、バレないように必死に取り繕ってきたから……もう我慢しなくていいと思うと、抑えきれないかも」
「お、おさえ……っ!?」
パッとトキくんから身を引く。や、やっぱり男の子って、そういう……いや、じゃなくて。
「私の破廉恥!」途端に男として意識してしまう私に喝を入れる。落ち着いて、そう、相手はトキくん。あんなに優しいトキくんが、そんな急に豹変するわけ――
と、ここで思い出す。
調子が悪くて保健室で寝ていた私の頬にキスをしたのも、トキくんだったということに。
「(やっぱり男の人ってオオカミなの!?)」
「ん?どうしたの?砂那?」
「い、いえ……なにも……!」