寡黙なトキくんの甘い溺愛

今、こうして砂那と両想いになれて……あの時からの俺の努力は、やっぱり無駄じゃなかったって思える。良かった、本当に。



「砂那……ありがとう」



すると、ポケットにいれたスマホがブブと振動する。差出人は大橋だった。そういや、いつか連絡先交換してたの忘れてたな、なんて思いながらメッセージを開くと、そこには簡潔にこう書かれてあった。



「ジュースだけじゃ足りない。ラーメン!!」



その文字を見て、ふっと笑みが漏れる。おおかた、詫びの品の催促だな。俺だってジュースだけで終わらせるつもりはない。ラーメンも、おかわりだってさせてやる。



「もちろん」



それだけ返して、スマホをまた元に戻す。ジュースが無事に大橋の手に渡ったということは、砂那は無事に二人に会えたって事なんだろうな。そして、仲直りが出来たんだ。よかった、本当に。



そう思っていると、またスマホがブブと振動する。不思議に思って中を見ると……いや、中を見ても、不思議だった。

だって、そこには――

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