寡黙なトキくんの甘い溺愛

それから数日が経った、ある日の帰り道。

今日は部活が休みな俺と砂那は、歩いて学校から帰っていた。



「トキくんと帰れるなんて久しぶりだね」

「そうだね」



と返事をする俺の口は重い。なぜなら――



「ねーねートキくん、どうして砂那ちゃんと付き合わないのー?告白したんじゃないの?不発に終わったのー?」

「やめな大橋。誰だって触られたくない過去の一つや二つあるでしょ。告白して、それで終わったなんて……ねえ?言えないよねぇトキくん」

「え、”付き合おう”って言わなかったの?ウソ、信じられない!」

「……」



詫びのラーメンをおごる事になった、昨日。砂那を除く、俺と大橋と相条さん三人でラーメン屋に来ていた時の事。

どうやら砂那は、あれから「付き合うことになった」とは言わなかったみたいで。相条さんには「無事に両想いになった」とだけ報告しているらしい。

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