寡黙なトキくんの甘い溺愛

「俺の中では、両想いになる=付き合うって事だと思ってたんだよ……」



半ば項垂れながら言うと、相条さんは「甘いなぁ」とチャーシューを持ち上げながら言った。



「あの砂那相手に、その方程式が通じると思ったら大間違いだよ!この甘じょっぱいチャーシューより甘い!あ、大橋、チャーシューちょうだい?」

「いいよー♪可哀そうだねぇトキくん。付き合ってないから、こんな事もできないよね……同情するよ」

「……はぁ」



的を射ているあたり、俺はやっぱり、まだまだ未熟だなぁと思い知らされる。詰めが甘いんだ。あのチャーシューよりも……。



「改めて、交際申し込んでみる。宙ぶらりんのままは嫌だし」

「おーおーそうしな」



じゅるると麺をすする大橋の横で、相条さんが「んー」と何やら考えている。大橋に「どした?」と聞かれると、大橋のチャーシューを箸で掴んだまま俺を見た。

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