寡黙なトキくんの甘い溺愛
と、そんな事があってからの、今。
二人きりになって歩いている。これは、デートじゃないのか?付き合ってるってことじゃないのか?と、俺は重たい口を動かせずにいた。
すると、いつにもなく静かな俺を、砂那が気にしてチラチラ見ていた。
「トキくん?大丈夫?どこか調子が悪い?」
「え、ううん。大丈夫だよ」
「そう?よかった」
ニコリと笑われると、弱い。今までの暗雲はすぐさま立ち退き、俺の周りが明るく穏やかな雰囲気に包まれる。それを砂那も感じ取ったのか「良かった」と二回目のそれを口にする。
「そんなに心配してくれたの?」
聞くと、素直にうなずく砂那。珍しい。いつもなら「え、だって」と照れながら少しばかりの言い訳をしてくるのに。