寡黙なトキくんの甘い溺愛
すると、トキくんが言った。
「まだ五月か。これからたくさん、二人で高校生を楽しめるね」
そう、期待を込めて口にしてくれた。
そうか、これから丸々三年間、ずっとトキくんと一緒にいられるんだ……!嬉しくて、こそばゆくて……そして、明日がもう楽しみで。
トキくんも、同じ気持ちだと嬉しいな。ううん、きっと同じ気持ちでいてくれてるはず。
「トキくん」
「ん?」
「これからも、よろしくね。楽しみがいっぱいだね!」
すると、トキくんも笑ってくれる。俺もだよ――と一言添えて。
そして私たちは教室を目指して歩く。
一歩、また一歩と。
何気ない話をしながら、時には過去を振り返りながら。
そして思う。
明日を、その先を思う。
だけど、時には不安を抱く時もある。漠然と、自分に自信がなくなる日が来る。だけど、大丈夫。
また不安になったら、その時は大好きな人を見ればいい。そうしたら、きっと自信が返ってくるから。大丈夫だって、思えるから。
だから、私は自信をもって、前を向いて歩いていこう。
そうしたらきっと、自分が思った以上の幸せが、訪れるはずだから――
【 完 】