寡黙なトキくんの甘い溺愛
実はこれ、新オリの出し物。
みんなで何かするって言っても、入学したばかりだし一致団結モノは難しいかも――
っていうことで、皆の手形で大きなハートを作ろうって提案したの。
そうしたらクラスの皆に採用されて……放課後、空き時間がある人から下書きした大きなハートの中を、みんなの手形で埋めていっている。
今日はやっとしずかちゃんが手形を押す日。
押し始めてしばらく経ってるから、もうほとんどの空白は埋まって残っていなかった。
「あとはこの余白部分だけだね。うん、見事に私たちのためだけに残されたような隙間、二人分。下手すりゃ押せなかったね」
「た、確かに……」
言われてみれば、結構際どい。皆が詰めて手形を押してくれて良かった……。ホッと安堵の息をついていると、しずかちゃんから「手の準備はいい?」と言われる。私は笑顔で返事をした。
「しずかちゃんと一緒に押せるなんて嬉しいなぁ~」
「私もー。待っててくれてありがとうね!」
「へへッ」
私は毎日居残りしてたから、いくらでも押す時間はあったのだけど……どうしてもしずかちゃんと一緒にやりたかったから、終盤まで我慢してた。我慢して良かった。二人で作業が出来て、良かった。