寡黙なトキくんの甘い溺愛
「じゃあ行くよ~」
「せーの!」
パンッ
しずかちゃんと笑いながら手に力を籠める。しばらくして離すと、そこには二人仲良く並んだ手形があった。
「綺麗だねー」
「なんか嬉しいな。あ、私、写真撮っとく!」
「手形だけじゃなくて、私たちも入ろうよ」
「うん!」
内カメラで何枚か写真を撮る。
撮った写真を眺めるしずかちゃんに「手を洗いにいこー」と声をかけた。
で、現在は手洗い中――
しずかちゃんから思いもよらない言葉を聞いたのは、その時だった。
「ねえ、砂那ってさ……本当は美人だよね?」
「ぶは!」
予想外の事を言われて、思わず吹き出してしまう。
しずかちゃんは「大丈夫?」と一応は心配しながら、絵の具を落とすために一生懸命に自分の手をこすった。