捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?
「ふあぁ……朝か……ん?」
目が覚めてから、なんかやたらと背中があたたかいし、固い感触が……?
そして、ぎょっとした。
わたしのお腹に、なにか巻き付いてる!
おそるおそるお腹を見ると、それは人の手で。わたしの体に抱きつくように回されてる。
(この手……間違いない。でも、まさか……)
思いきって振り返った瞬間、わたしは叫んだ。
「ぎゃあああ!アスター殿下、なんでまた裸なんですか!!なんでわたしのベッドに寝てるんですか!!」
布団を被してから転がして落とすと、ドスンという鈍い音とともにアスター王子の「いてっ!」という声が聞こえた。
「なに考えてるんですか!エッチ、チカン、変態!!」
ゾンビのごとく布団からぬっと手が出たから、ばちん!と叩いておく。
「……おい、待て。そこはオレのベッドだ」
「は……?」
アスター王子の主張を確かめるべく、振り上げたナイトランプをいったん置いて周りを見回した。
シンプルな木製だけど頑丈な造りのベッド、分厚いマットレス、白いカバーのついた布団。位置といい、確かにアスター王子のベッドだった。
でも……
「アスター王子……ぼくを連込んだんですか?そういう趣味なんですか!?」
「いや、それもやぶさかでない……じゃない!昨夜、おまえが間違えてオレのベッドに寝たんだぞ」