捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?



授業が終わって解散し、昼食の時間になる。本来ならまっすぐ食堂に行くけど、わたしはアスター王子と連れ立って後宮に向かってた。

「アスター殿下、今日の授業で聞きましたよね?ユニコーンの呪いの話」
「ああ、オレも初めて聞いたが…妙に引っかかるな」

アスター王子の御母上様の眠り病はどんな薬も治療も効かず、呪い師や魔術師も匙を投げたほどだ。

でも、それが“呪い”だとしたら?

「ソニア妃様が呪いに…?」  
「可能性は…あるな。ただ、母上はとても恨みを買うようなひとじゃない。仮に呪いとしても、一体なぜだ?」

わたしは直接ソニア妃を存じ上げないけど、ご子息のアスター王子をはじめ小姓だったピッツァさんや、御典医のジョワンさんなど。彼女を知る誰の口からも、悪く言われるのを聞いた事がない。それは、ソニア妃がどれだけ素晴らしいひとだったか、を如実に表わしていた。

(呪いだとしたら…どうやって解くんだろう?なんとか方法を見つけないと)

わたしもアスター王子もお互いに考え事をしていて、黙って歩みを進める。
そんな時に限って、余計なトラブルがやって来るんだ。


葉っぱが動いたかと思うと、ザザザッ!と樹の上からなにか降ってきた。

「きゃああ〜たす〜けて〜ぇ!」
「危ない!」

降ってきたのは、ドレスを着た女性。間一髪で、抱きとめることができてほっとした。









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