捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?
お母様までメダリオンのことを持ち出した。
一体何なのだろう?お父様は約束だとか言ってたけど。
「マリアンヌ夫人」
アスター王子はお母様と正面切って相対する。そして、怖いくらい真面目な顔でお母様に答えた。
「私は一時的な感情のつもりはありません。一生護りたい……そう思ったから、贈ったのです」
(んん……?アスター王子が、護りたい?わたしを…?)
そう告白されて、わたしの顔は……。
怒りで赤くなった。
(まだ、アスター王子に護らなきゃならないと思われるくらい弱い、とわたしは思われてるんだ)
悔しいし、情けない。
わたしはキッと、アスター王子を睨みつけた。
「アスター王子!この庭にも鍛錬場がありましたよね?使っていいですか?」
「別に、構わないが……せっかく親子水入らずの時間が過ごせるんだろう?今夜くらいは…」
「なにおっしゃってるんですか!ぼくを、護らなきゃならないくらい弱いと思ってるくせに。ぼくがもっともっと強くならなきゃ、認めてくれないんでしょう?」
「違う、そうじゃない!オレが言った意味は全然違う!」
「なにがですか!?ぼくがからっきし弱い。他に何の意味があるって言うんですか!?」
「だから……ミリィ、話を聞け!」
「触らないでください!変態!!」
「誰が変態だ!」
わたしたちがぎゃあぎゃあ言い合っているうちに、なぜかお母様は悟りきったような笑顔になってた。
「まぁ、仲がいいね。わかりました……ミリィ、アスター殿下についていくのよ」
「は……はぁ?」
たぶん騎士になることだ、と解釈したわたしは「もちろんです」と返しておいた。