捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?

「でも、素晴らしいですよね!実際のありとあらゆる自然の地形を体験しながら訓練できるんですから。特に、崖と川はなかなか体験できませんから、早く訓練したい……!あのランダムに動く人形も使ってみたいです。怪我を気にせず相手に打ち込めるなんて、最高!」

わたしが訓練設備の素晴らしさを語ってるのに、あれ?なんでみんな生暖かい目で見てくるの?

「そんなに気に入ったなら、後で相手してやるよ」
「ほんとですか?うわあ、ありがとうございます!騎士に二言はないですからね。約束ですよ?」

わたしがアスター王子に念を押すと、苦笑いして「ああ、忘れないさ」とおっしゃったから……わたしのテンションがマックス。

「わぁー、楽しみ!よし、今夜こそ一本取りますからね!」
「お手柔らかにな」
「そんなこと言って……いつも、すっごい手抜きしてますよね?悔しいなぁ…早く殿下を本気にさせたいですよ」
「そんなにムキになるな。焦らず時間をかけて上手くなればいい」
「そうですね…うん、何事も経験。頑張ります!」

わたしとアスター王子が訓練の会話をしていたのに、なぜかピッツァさんとアンジェラさんがにやにやしてる。

「そうか……アスターもミリィも、夜はそんなに熱心なんだな。頑張ってるなあ」

ピッツァさんが訓練のこと、褒めてくれてる?

「ありがとうございます。アスター王子はすごい技巧ですから、ぼくはいつも負けますけど……」
「ま、アスター殿下の夜の技巧……きっと素晴らしいでしょうねえ」
「……?はい」

アンジェラさん……なんで顔を赤くしてうっとりするんですか?
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