捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?

「あの、ピッツァさん……」
「ん?」
「その……大きさ、戦う時に邪魔じゃないですか?その、胸が」

訊きにくいことだけど、ピッツァさんなら答えてくれる気がした。

「ああ、邪魔だね。だけど、専用の下着があるのさ」
「下着?」
「そうか、アスターじゃ気づかないよねえ……後で実物見せてやるよ。オーダーメイドでないと作れないから、店も教える。
ま、それでも。アスターのために頑張って大きくしなよ?」

ピッツァさんにタオルの上からパン!と胸を叩かれ、また顔が熱くなる。

「いい形だ。アスターも喜ぶな〜」 
「な、何がですか!!」

にやにやしながら言われたら、意味がわからないけど不愉快に…でも、恥ずかしい気持ちになった。

「ま、いざって時はすべてアスターに任せりゃいいさ。あいつ上手そうだし」

(たぶん、鍛錬とかだよね?騎士なんだし)

「アスター殿下に任せてばかりは嫌です。ぼくも頑張ります」
「お、積極的。いいね〜!初心者にはもったいないな!アスターも喜ぶだろ」
「はい!」

(そうだよ。わたしが強くなった方がアスター王子も嬉しいに決まってる。よーし、頑張るぞ!)

気合いを入れるため、ほっぺたを自分で叩いてよし!と叫んだ。

「あんま頑張りすぎるなよ。朝がつらいぞ」
「はい。必要な時は休みますから」

ピッツァさんのアドバイスは、よく聞いておいた。


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