捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?
それはともかく、朝食後にアスター王子とピッツァさんを交えて夢で見た内容をすべて話した。
そして判明したのは、アスター王子もわたしと同じ夢を見た、ということ。
ただし、アスター王子はただ見ただけ。ユニコーンやあの謎の男性とはやり取りできず、わたしが体験した場面をお芝居のように見ていただけらしい。
「その男がソニア妃を母様と呼んだ…?ソニア妃にはアスター以外子どもはいないはずだよ」
ソニア妃とアスター王子をよく知るピッツァさんがそう言うのだから、それはたぶん間違いないはず。
「そうだな。オレも、母上から兄弟の存在は聞いた事がない。それより気になるのは、そいつがは母上を夢の国に…という部分だ」
やっぱり、アスター王子にはそこが一番重要な部分だよね。原因不明だった御母上様の眠り病の理由。
「そうですね……もし、その男性にまた会えたら、今度は御母上様を戻してもらえるよう、頼んでみます。無理なら、会わせていただけるかだけでも頼みます。御母上様を説得するか、連れ出せる方法があれば。もしかしたら…眠り病も治るかもしれませんね」
わたしがそう提案すると、ピッツァさんが渋い顔をする。
「そりゃあ、今はそれしか考えつかないけどさ……危なすぎるよ。もし成功したとして、あんたが抜け出せる保証はないんだろ?やめときな」
「……でも、他に方法はないんですよね?」
わたしがそう言えば、ピッツァさんも頭をガリガリ掻いた。