捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?
「私からも礼を言わせてくれ」
アルベルト王子までも、わたしに話しかけてくださった。
「ソフィアを救ってくれてありがとう。私が不甲斐ないばかりに大切な彼女を危険な目に遭わせてしまったが……もう、そんな目には遭わさない。私がこの手で護るよ」
「アルベルト殿下……」
アルベルト王子はソフィア様の手をしっかり握りしめてる。見つめ合う2人は微笑みあい、あたたかな雰囲気を作り出した。
どれだけアルベルト王子がソフィア様を大切にされているか、ソフィア様がアルベルト王子を信頼しているかが伝わってきて。こちらまであたたかで幸せな気持ちになれた。
(そりゃあ、ソフィア様はレスター王子にはもったいなかったものね)
これなら、単なる政略結婚ではなく愛し愛される素敵なご夫婦になるだろう。冷たい関係でなく、心底幸せなご家族に。
「ミリュエールさん、本当に助けてくれてありがとう。感謝いたしますわ」
「いえ、こちらこそ…お役に立てて何よりです」
ソフィア様からも声をかけられ、畏まっているとふふ、と小さな笑い声が上がった。
「ミリュエールさん、わたくし達は同士なのですから畏まらずともいいですわ」
「同士……ですか?」
「ええ。わたくしたちは、レスター殿下に婚約破棄された身。それならば、身分関係なく同士と言えないかしら?」