捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?
狩猟会最終日の7日目。
アスタークやソニア妃、ユニコーンが絡んだ夢の国事件は無事に決着が着いた。
わたしが気を失ってる間に、アスター王子がすべてうまく処理をしていて。不思議なことに皆倒れたことは一切覚えてなかったから、事件が表沙汰になることはなかった。
ソニア妃が目覚めた、との朗報を聞いたのは夜会の直前で。
お母様と侍女に強引に連れ去られ、あれよあれよという間にドレス姿になっていた。
「アスター殿下にはメダリオンをお贈りしておいたわ」
「あ、ありがとうございます…」
髪を巻かれ結い上げられてるだけで、精神力がガリガリと削られる。お母様の言葉は右から左へと流れていった。
そして、控え室で半ばゾンビと化していると、ドアが開いて現れたのがアスター王子だったけど。
今までとはまったく違う王子としての正装……白地の詰め襟に金の縁取りをした制服姿を見て、思わずキョトンと見上げてしまった。
プラチナブロンドはしっかりスタイリングされ、手元には白い手袋とかっちり硬そうな革靴。胸元にはメダリオン。品がよく理想的な王子様ぶりに、眉を寄せて質問した。
「あのー本当にアスター殿下ですか?」
「アスターに決まってるだろ!他の誰が来るんだ?」
「いえ、そっくりさんかと思いまして…すっ裸じゃありませんから」
「誰がすっ裸でいるか!」
「えーだって、毎朝のストリーキングはアスター殿下の趣味ですよね?」
「裸体を衆人に晒す…そこまで変態じゃない!!」
「あ、変態の自覚はあるんですね?」