捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?
「アスター殿下、ミリュエール嬢ご到着です!」
わたし達がパーティー会場に現れると、周囲にどよめきが広がった。
(あーやっぱりこうなるよね?適齢期の独身の王子がアスター王子だけだから、狙ってた人からすればあんた誰?だよね)
突き刺さる視線を感じるけど、全然怖くない。
むしろ面白くて、そちらへ顔を向けにっこり笑って見せた。余裕、余裕。実際の戦闘より断然楽だ。
ほう、とため息をつかれたのは呆れたからだろうな。
別に、いいけどね。
「ミリィ!」
藍色のドレスを着たソフィア様が、アルベルト王子とともにこちらへいらした。
「そのドレス、とてもよく似合ってるわ。アンジェラのお店かしら?」
「ありがとうございます。そうです、アンジェラのお店です。でも、わたしよりもソフィア様の方がすごくお綺麗でらっしゃいます。以前よりますますお綺麗でらっしゃいますよ」
本当に、緩く巻いた髪も艷やかで白い肌に深い紺色がお似合いだ。
そして何よりも。幸福感から来るお幸せそうな表情が、ソフィア様をより綺麗に魅せてる。
「ありがとう…でも、わたくしそんなにメイクとか変えた覚えは無いのだけど」
恋人の謙遜に、素早くアルベルト王子が反応した。
「そんなことはない。ソフィア、君はいつだって世界一綺麗だよ。きっと年を重ねても、君は綺麗だ」
「まあ、アルベルト殿下。わたくしがしわくちゃのおばあちゃんでも言えるのかしら?」
「シワが増えても綺麗だよ。それをずっと君のそばで見ていたいな」
「アルベルト殿下……」