捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?
なんだかいいムードで見つめ合う2人を、アスター王子は眺めてたけど。
「アスター殿下!そんなにじろじろ見ないでください!失礼ですよ…ってか、なんでそんなに羨ましそうなんですか?」
「……いや、別に」
「今にも指くわえそうな、物欲しげな目でしたよ?」
「指なんてくわえないぞ!!」
「はいはい」
「なんだ、そのどうでもいい感満載の対応は…」
「事実そうですからね〜」
わたしとアスター王子のやり取りを、ソフィア様もアルベルト王子も苦笑いで見てらした。まるで珍獣扱いだ。
「アスター……気長に根気強くいけ。それに尽きる」
ポンポン、とアルベルト王子は弟の肩を叩いて励ましてたけど。気長に??
ソフィア様も扇子を口元に当てて忍び笑いをされた。
「ミリィ、あなたは綺麗よ。誰にも負けないくらいだわ。だから、みんなあなたを見てため息をつくの。自信を持って堂々と胸を張りなさい」
「はい、ありがとうございます」
ソフィア様からお世辞とはいえそう言われて、少し自信を持った。なぜかアスター王子が落ち込んでたけど。
「ソフィア、アスターの台詞を奪うな」
「あら、それはごめんなさい」
ひそひそとお二人がやり取りされてたけど、アスター王子の台詞?やっぱり台本でもあったのかな?と首を傾げた。
「ミリィ、レスター殿下の計画は順調よ…結果を楽しみにしてらしてね」
ダンスに出るとき、ソフィア様は悪戯めいた笑みで、わたしに向けチャーミングなウインクをされた。