捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?

「よ、ミリィ!」
「ピッツァさん!」

深いスリットが入った大胆な真紅のドレスを着たピッツァさんは、わたしより何歳か年上らしい男性を連れてる。オレンジ色の髪と金色の瞳で、どことなく彼女に似てる。

「紹介するよ。アタシの従弟で、ユリウス・フォン・ライトだ」
「ユリウスです。ピッツァ姐さんの従騎士を務めてます」
「え、ピッツァさんに従騎士…いたんですか?」

お上品な挨拶する優等生的な彼と、豪快なピッツァさんが合うのか?と他人事ながら心配になる。従弟なら、ある程度は彼女を理解してるだろうけど。

「まあ、ピッツァ姐さんはよく居なくなりますがね」
「あっはっは!アタシは放任主義だからね!」
「それにしては放任しすぎでは?1日のうち食事時と寝るとき起きる時にしか見ませんけど?」
「ノープロブレム!あんたは賢いから大丈夫だって!」

……やっぱりピッツァさんはピッツァさんだった。しかし、ピッツァさんが自由に動いてたおかげで何度か助けてもらった立場からすれば、気まずい。

「ごめんなさい。ピッツァさんに何度か手伝ってもらったので……」
「ああ、いいですよ。ボクが困るのは無駄な時間を過ごすことなので、ピッツァ姐さんが少しでも役立つならよかったです」

わたしの謝罪をユリウスさんは素直に受け入れてくれ、ほっと一息つくとピッツァさんは例のごとくアスター王子をからかった。

「おい、アスター。ちゃんとミリィに言ってんのか?」
「……放っておいてくれ」
「あっはっは!やっぱダメだったんだ。いやあー、賭けはアタシの勝ちだな、ユリウス!」

ピッツァさん…なにに賭けたかわかりませんが、勝手に人で賭けをしないでください。


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