捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?
「申し上げておきますが、わたくしは今後二度とあなた様に関わるつもりはございません」
きっぱり、はっきり、すっきりと。自分の言葉でレスター王子に突きつける。国王陛下主催の夜会という公的な場で。
「先に、わたくしをいらないとおっしゃった、捨てられたのはそちらですわよね?それなのに今さら、なにを必要とおっしゃるのですか?」
必要ないと思ったけど、お母様に持たされた扇を口元に当てて微笑んで見せた。
レスター王子は呆然と口をぱくぱくさせている。
「あ……う」
「……それより、アスター殿下を侮辱なさった方がわたくしには許せませんわ。レスター殿下……あなたは今までなにをなさって来られましたか?身分血筋以外に、なにをお持ちで?努力はなされました?
……わたくしは2年貴方様のお側にいましたが、あなたは勉強もろくになさらない。
そんな方が、わたくしのアスター殿下を悪くおっしゃる資格はおありなのですか?」
怒りのあまり、自分でも何を言ったのかは覚えていない。だけど、怒りに任せていたわりに冷静な部分もあったと思う。
「わたくしはあなたより、アスター殿下の方に遥かに好意を抱いておりますわ!!」
そう叫んだ瞬間……
パーティー会場がシン……と静まり返る。
(し……しまった!やらかした……!!)
大いに反省してる最中、誰かがパチパチと拍手を始めると……。
あっという間にそれが伝染していき、無数の拍手が会場を沸かせた。