捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?
「いや、よく言ったミリュエールどの」
「え……」
よく見たら壇上にいらした国王陛下よりそんなお言葉を賜り、慌てて陛下に向かい淑女の礼をした。
「そう畏まることはない。そなたにはレスターの婚約破棄で迷惑をかけてしまった…むしろこちらが謝らねばならぬ」
すでに50近くですっかり白髪の国王陛下は、青い制服に赤いマントを羽織り玉座にお座りになってらして。お隣には王妃のセイラ様がシルバーのドレスでいらした。レスター王子によく似てらっしゃる。
「いえ、わたくしは不敬を……」
「いいえ、レスターにはよい薬です」
王妃様は泣いて縋ってきた息子を一瞥し、あからさまに大きなため息をついた。
「ママン!みんなボクをいじめるんだ!!」
そんな不甲斐ない息子を、王妃様はなんと平手打ちした。
「お黙り!レスター、あなたはもはや成人なのよ?本来ならば、妃も迎え子どもがいてもおかしくない…なのに、2度も婚約破棄して!された側がどれだけ傷つくかわからないのですか!?」
「ま、ママンが…ボクをぶったあああ!!パパァ!」
レスター王子は今度は父親である国王陛下に泣きつこうとしたけど、陛下はじろりと冷たい目で突き放した。
「黙れ。貴様のような息子を持った覚えはない」
「……パパ?」