捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?
レスター王子が冷たい両親に困惑していると、遂にアニタ嬢が立ち上がった。
「もう、もう…我慢できませんわ!わたくし、レスター殿下との婚約破棄をさせていただきます!幼なじみのトムが大富豪の養子となりましたので、結婚の約束をしました。では……皆さん、ごきげんよう」
「アニタ?嘘だろう…ボクを好きじゃなかったのか?」
「そんなわけないでしょう。誰があなたを身分以外で本気で好きになると思いますか?」
アニタ嬢は縋ってきたレスター王子を本気で嫌がり、遂には足蹴にしてパーティー会場から退出していった。
ソフィア様の作戦大成功。
もともと、アニタ嬢は結婚を約束してた幼なじみがいた。でも、実家が没落貴族のために泣く泣く諦めて玉の輿を狙ってたんだけど。ソフィア様の計らいで幼なじみくんがお金もちになる。だったら、将来性のないぼんくら王子より幼なじみになるよね。
幼なじみくんはかなり優秀らしいし。
「皆、騒がせてすまなかった。引き続き夜会を楽しんでくれ」
一人でわあわあ騒ぐレスター王子は、警備兵に引きずり出された。国王陛下のお言葉で音楽が再開し、再び賑やかになる。