捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?

「ジョワン様!とんでもないことをおっしゃらないでください。あり得ないですよ」
「そうかのぅ?いいアイデアと思うたのじゃが…(ふたりをイチャイチャさせたいのにのぅ…)」

わたしが抗議すると、ジョワンさんはいじけたように呟くけど…なんか、余計な言葉が小声で聞こえたような…?

「……よし、わかった!ミリィ、オレの部屋に来い」
「……は!?」

アスター王子まで、なにか普通じゃない事を言い出してる。にわかには信じられなくて、ぽかんと彼の顔を見てしまった。

「あの……アスター殿下、おっしゃる意味がわかりませんが……」
「そのままの意味だ。おまえが治るまでの1週間、部屋の一部を貸してやる」
「……それは……」

アスター王子はわざとなのか、それとも天然なのか?
わたしの懸念材料を理解してくれてるのかな?

「あの……アスター殿下。一応、これでもぼくは……女の子ですが……」
「だからこそ、男装させてるだろう。対外的には問題なし。騎士と見習いではたまにあることだし、気にするな」
「で、でも!ぼくは……レスター殿下に婚約破棄された女ですよ!このことがバレたら……事実何もなくとも、未婚の男女が同じ部屋で何日も過ごす、というだけでもとんでもないスキャンダルになります。まだ婚約者も決まってないアスター殿下には、醜聞にしかなりません!」


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