捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?
『ぼ、ぼくが訊いてんだ!素直に答えろよ』
(あーあ、面倒くさい……)
トムソンってほんと子どもだわ、と仕方なく答えておいた。
『そうだよ。アスター殿下とは同じ部屋で寝てる。それが何か?』
わたしがそう答えた途端、トムソンの顔が青くなり周りはざわめく。
『お、おい。ミリィ……アスター殿下と同じ部屋って……どういう意味だ?』
フランクスまで食いついてきた。なんかややこしいなぁ……もう。
『そのまんまだよ。ぼくと殿下は同じ部屋で過ごすし、一緒に寝てる。あ、聞いてくれよ!殿下はよくベッドの中で裸になるんだよ!ぼくはきちんと服を着てるのにさ』
たぶん、単語の選択を間違ったんだと思う。でも、苦手意識のあるバフィーク語では適切な使用なんてわからない。
『ミリィ……おまえ、一人で大人の階段を上ってるんだな……』
フランクスからポンポンと肩を叩かれ、言ってる意味も相まってよく理解できない。
『大人?……階段??意味がわからないよ、フランクス。説明してよ』
『いい。子どもができたら王子にはきちんと責任は取ってもらえよ?』
『は?』
同室にいるだけで、子ども?なんの話だと、ますます意味がわからなかった。
講義中もトムソンは魂が抜けたような雰囲気だったし、フランクスはひそひそとなにやらささやきあってるし。
なんなんだよ、まったく!