捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?

「けど、やっぱり憧れはアスター王子だよ!」

フランクスの友達のカインが、目をキラキラさせながら言うけど…え?アスター王子が憧れ?

「殿下が憧れ?カイン、本気?」

わたしがそう言うと、なぜか周りから驚かれた。
みんな口をあんぐり開けてる。

「ミリィこそ、本気で言ってるの?」
「え、だってアスター王子だよね?そりゃあトーナメントの腕前はいいと思うけど……」

わたしがこの1か月みてきたアスター王子は、騎士としての腕前は確かにいいけど、私生活はかなりだらしない人だ。すぐ裸になって歩き回るし、部屋はぐちゃぐちゃにするし、服を何日も洗わないまま着ようとするし。寝起きが悪くて遅刻常習犯だし。酒癖が悪いし。どこをどう見ても、憧れには程遠い。

「知らないのか?アスター王子は史上最年少…14歳で騎士に叙任されたんだぞ」
「えっ!?」

アスター王子が騎士になったのが、今のわたしと同じ年…14で!?

「従騎士には12歳でなったってさ。それから大活躍。窃盗団の大規模な討伐や、隣国との小競り合いも一瞬でカタつけたり…だからこそ、14って若年でも誰もが文句をつけなかったらしいぞ」
「……」

わたしが信じられない気持ちでいると、フランクスが人差し指を立ててカインに言う。

「ならさ、あれも忘れるな。ほら、アスカーガの戦い」
「ああ、それがあったな!」

2人で頷き合ってるけど、わたしは知らない。

「なに、それ?ぼくは知らないから教えてもらっていい?」


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