捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?

「水遊びしたかったんですか?なら、別にぼくは必要ありませんよね?」
「違う」

きっぱり否定されたけど、じゃあなんのために?

「ミリィ、足の調子はどうだ?」
「そりゃあ、昨日ケガしたばかりですからまだ痛いです」

隠しておいても良いことは無いから、正直に答えるしかない。

「だろう?だから、ここへ来たんだ。ミリィも水に入れ」
「は?」

また、何を言い出すんだろう、この人は。

「あの……ぼく、水遊びするほど暇じゃないんですけど。お昼ごはんを食べたら鍛錬を」
「その足で通常の鍛錬するつもりか?治らなくなるどころか、酷くなるぞ」
「それは……そうですけど。じゃあ、どうすれば」

確かアスター王子の言う通りだ。通常の状態でも負担がかかる鍛錬を、ケガをした体でこなしたら悪化しかねない。でも……。

「1日休んだら、取り戻すのに1週間かかるって言われてるじゃないですか。ただでさえ、ぼくは他の人より遅れてるんです。鍛錬を休むなんてしたくありません」
「だろうな。おまえの熱心さは、誰もが舌を巻くほどだからな」

アスター王子からしみじみと言われてしまうと、なんだかこそばゆい。

「だが、鍛錬は何も剣を振るだけではないぞ。ミリィ」


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