捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?
(そうだ……思い出した)
ユニコーンを密猟しようとした連中がいて、わたしとアクアとアスター王子の3人で駆けつけたんだ。戦って……途中で貴婦人だった女性が参戦してくれて。だいぶ有利になってたけど。不甲斐ないことに、わたしはケガをして気を失ってしまったんだ。
「申し訳ありませんでした、アスター王子。ぼくはろくに戦えず足手まといでしたね……」
「そんなことはない。ミリィ、おまえは頑張った。こちらこそ、手助けしてやれず済まなかった」
「いえ……騎士になるなら、あの程度は自分でなんとかするべきでした。自分の能力と経験不足を痛感するばかりで……本当に自分が不甲斐ないです」
アスター王子は甘い。本当ならば厳しく叱りつけるべきだ。そう言うと、いきなり女性が大声で笑いだした。
「あははははは!アスター、あんたを逆に叱りつけるなんてね。しかも、なんて根性だ。気に入ったよ、ミリィだったっけ?アタシはピッツァ・ライトだよ。よろしくね!」
女性……ピッツァさんが手を差し出してきたから、わたしも手を出して握手をする。ん?ピッツァ・ライト?その名前を聞いて、飛び上がりそうなほどに驚いた。
「えっ!もしかして、数少ない現役女性騎士のピッツァさんですか!?」
「ああ、アスターとは同期でね。同じ日に騎士に叙任されたんだよ」
有名すぎる憧れの女性騎士に初めて会えて、自分でも目が輝いたのがわかった。