捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?
メダリオン

「はっ!」

腹を狙って膝蹴りを繰り出すと、両手でガードされる。それは読めていたから片手で空いた喉もと部分に突きを入れるけど、これも防がれた上に倒れながら足を狙って鋭い蹴りが繰り出される。素早くジャンプして避けると、襲いかかってきた足をガシッと掴んだ。

「いてっ!」

コツン、とフランクスの額に軽く拳を当てると、そこで今日の鍛錬は終了。さすがに組み手を3時間ぶっ続けだとキツい。

フランクスもわたしももうバテバテで、倒れ込むように鍛錬場で横になり休む。

でも、最近はフランクスの方が回復が早く感じる。
持久力はわたしの方があるけど。

「ほら、水」
「あ、ありがとう」

木のコップにフランクスが冷たい水を汲んできてくれて、ありがたくいただくけど。


「……でも、悔しいなあ。フランクス、最近力もついてきたし、背も高くなって」
「そりゃあ仕方ないだろ。おれは成長期の男だからな」

フランクスには苦笑いされたけど、こんなふうに騎士に有利なものを生まれながら持ってるのは羨ましい。わたしも努力はしているつもりでも、どうしたって差が出てしまう。

「でもさ、ミリィだってスピードが段違いに速くなったと思うけどな」
「え、そう?」

フランクスに褒められて、ぱっと気分が上がる単純なわたし。

「ああ。組み手始めた2ヶ月で、すげえ速くなった。さっきも蹴りが鋭かったし。防げたのギリギリだったぞ」

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