捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?

「スピード……スピード、か」
「ミリィも重さや力じゃどうしたって不利だろ?なら、逆に軽さやスピードを利点にしたらいいんじゃないか?」

フランクスのアドバイスは、ここ3か月ともに訓練してきた仲間からこそ、だった。

「スピード……軽さ、ね。フランクス、ありがとう。考えてみる。さすが従騎士様だよね」
「まぁな」

へへ、と照れ笑いするフランクスは、つい先週14歳の誕生日を迎えて従騎士となり、象徴である銀の拍車を授かった。ちなみに、騎士の叙任式では銀の拍車に代わり金の拍車を授けられる。

「銀の拍車…早くぼくもいただきたいなあ。フランクスは武器の手入れも任されるんでしょ?羨ましいな〜」
「そうかぁ?思ったより大変だぞ。チェインメイルなんて、たらいに入れて砂を注いで木の棒でかき混ぜるんだぞ。なかなかキツい」
「そうなんだ。教えてくれてありがと」

何にしても重労働で筋肉がいる。肉……肉が欲しい。

「肉が欲しい……」

わたしがぶつぶつ言うと、なぜかフランクスにドン引きされた。

「おまえ……武器持って血走った目で言うな……こえぇよ」

「あ、そうね……」

そういえば、ナイフだけは許可されてたから実際に持って訓練してたんだったわ。

確かに怖いわね……これは。

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